葛について思うこと。by庭詩 実政秀行(まち杜メンバー)


先日の五里五里の丘の葛の染色講習会にちなんで。
毎月五里五里の丘の森守クラブさんの活動をお手伝いしている、まち杜の環のメンバー 実政秀行氏が
葛について、思うことを語っています。
よろしければ、お付き合いいただければ嬉しいです。

「葛は有害雑草ですか?」
先日、城陽市五里五里の丘で行われた「葛の葉染め体験」に参加し改めて「葛」って何なんだろう?と思い調べてみました。

葛という植物は秋の七草の一つで、古来より花の美しさを愛でられ、日本人には親しみ深い花の一つです。

しかし現在は夏の暑い時期に電柱に巻きついたり、電車の両側や高速道路の法面、林地など暑苦しく
うっそうとした葛を見かけない町などないというのが現状です。

ちょいと昔を振り返ってみると、縄文時代が終わって弥生時代に入り、稲作文化が始まった時、
肥沃ではない日本の土地では「肥料」を使う必要がありました。
田畑の他に肥料生産の為の「茅山」「柴山」「葛山」などを持っていました。
そんな中で葛は葛粉の生産、葛布の生産、飼肥料に用いられたとされています。
クズは利用するものであって、雑草ではありませんでした。

しかし戦後になってそれらの草地にスギやヒノキなどの針葉樹を植林させたため、
葛は里山の『有害雑草』と呼ばれるようになりました。

『雑草』は人が生活圏の環境を作り変え維持することによって生まれるのだそうです。
人間にとって不都合なものは雑草と呼ばれるのだそうです。

そして今現在、放棄された林地に葛がはびこり、あふれ出るように耕作放棄地へ流れ込みます。
それだけにとどまらず、護岸工事や宅地開発などで里山の土が使われることにより、『土の移動』が起こりました。

里山の土に含まれる葛の根や節は、都会に持ち込まれ、河川や鉄道、公園の整備に使われ、数年後に芽吹きます。

葛は逞しく、生命力のある植物。初めはひょろひょろと生えているだけでも、
3年もすればその成長のスピードは恐ろしく早く、誰も止めることはできません。

昔、葛と人は切っても切れないほどうまく暮らしていたのです。
葛は根も花も葉もつるも、全ての部分を活用することができるすぐれた植物です。
でも、葛が利用されなくなり、葛が放置されることでどんどん葛がはびこり、害草のイメージが強いのも事実です。

まとめていてもうっとうしいイメージばかりですが最後に楽しい情報も載せます。

もう少しすれば葛の花が満開です。
葛の花は肝機能を高めてくれます。いい香りの花なので、
ハーブティーとして利用できるみたいです。

・葛の花を摘んだらさっと洗って新聞紙の上に広げて干します。
・乾燥したら小瓶に乾燥材と共に入れておけば保存しておくこともできます。

今回、葛の件をまとめていますと「放置竹林」の問題ともよく似ていることに気づきました。
竹も全ての部分が利用出来るのですが、筍として食すことはあっても
日用品として竹製品を使っているお家は何件ぐらいあるのかな?

手仕事のモノは工芸品となりもったいなくて普段使い出来ない。
合成樹脂・繊維が日用品となり、天然樹脂・繊維は工芸品。
「時は金なり」

この様なことを先ずは考える事で、「里山」を大切に思い、暮らし方を見つめなおす機会になると思いました。

だから今私たちが人生の先輩たちの知恵と工夫を教わり、大切な子供たちに何を残してあげるのか、
何を伝えてあげるのかよく考え、笑顔で前に進むこと。
今の生活も大切。あせらず、でもしっかりと考えないと。

そして「葛はクズではなかった。」

「里山」・・・自分で発見する楽しさ、自分で工夫する楽しさ、仲間と暮らしを作る楽しさ。

2019/9/3
庭詩・実政秀行